10月13日(木)
ふとした時間に、思い出すことがある。初めて単身生活をおくっていたときのことをだ。壁に年ごとに増えていく、何枚かのマリリンモンローのカレンダーを貼っていた。大人びたマリリンもいたが、無邪気な幼少時代のマリリンもいた。この子供のころのマリリンがいいのだ。あのカレンダーは、どこへいったのか。
カレンダー
http://www.sanwa-ss.co.jp/news/syusai.php?id=246
某月某日 マリリンのいる部屋
マリリンの部屋にぼくは、何年いるのだろうか。
明日はあるだろうか、という気持ちで寝るが、ちゃんと薄明かりが射している。
部屋は余程のことがないかぎり、窓のカーテンは閉めない。
3階なので外から見られる可能性は少ない。
まして覗かれても、どうでもよい。それより早く太陽を見たい。
明かりが欲しい。
東向きに大きな窓があり、夏場は暑いくらいの日差しが射してくる。
眼が開けられないほどにまぶしい。
だが、今時期の冬場の朝は、ほんのちょっとの時間しか、陽が射さない。
いつだったか,台風の去った朝は太陽と雲の動きがおもしろくて、これはと思いカメラのを5分おきにフィルムがなくなるまで撮っていた。オレンジの光が線として、伸びている、何本も,時間が経つと光が変化して、見ていても飽きない。
部屋に入るとほっこりっぽい匂いがする。
なれというのはおそろしいことだ。
そのこと自体はなんとも、思わなくなってしまった。
若いマリリンが今日も温かく迎えてくれる。
今日も笑顔一杯である。
マリリンは何か、しゃべりたいがしゃべれない。
可哀想なので、マリリンに向かって、
今日の一日を目をつぶって、教えてやる。
わかったのか、笑顔が一段ときれいになっていく。
マリリンのためにコーヒー袋を置いて、ほこりっぽい匂いを消している。
マリリンは年年、若返っていく。
極端ではないが、確実に若返っていく。
マリリンは冬場に暖房をガンガンかけても、
夏場に冷房をかけても、文句は言わない。
それどころか、暑いからと言って、洋服も脱がない。
マリリンは年年、本当に若返っていく。
ベッドにもぐり込むときにぼくは、ありったけの大声で言うのだ。
『マリリン・モンロー (ノウ) リターン』