3月20日(火)
もうすぐ桜の季節である。その季節になると思い出すことがある。何年か前に、第13回西荻ブックマーク「西荻てのひら怪談」としてトークイベントがおこなわれた。その際、通常の「てのひら怪談」として、題材に西荻を取り入れて「800字の怪談」ということで、折角なので応募してみることにした。一つ思いつたのは、善福寺池と井の頭池が同じような崖の湧き水から発生するので、二つが対立してしまう話を考えて調べてみたが、うまい具合まとまらなかった。善福寺池の廻りをウロウロしていたら、井荻小学校と荻窪中学校の間の道路に善福寺川の上に井荻橋が架かっていて、その横に四本の桜の木があり、その一本の桜が緑色の花が咲いていたのだ。緑色の花など、今まで見たことがない。そこで思いついて、ストーリを考えついた。井荻小学校と荻窪中学校の間の道路が善福寺川の井荻橋まで大通りから高低差が20mくらいある。ストーリは、こうだ。ある日父親が酔っ払っていたのか、自転車に乗って帰る途中にこの坂を一気に下ったのであるが桜の木に衝突して死んでしまったのだ。それから、どういう訳か一本だけの桜の花の色が緑色になってしまった。死んだ父親の息子が母親に連れられて、よくこの桜の前で、これがお父さんだから困ったり、悩んだりすることがあったら、ここに来て話かけてごらんと言われる。そして、何十年ぶりに訪れると、……。こんなことを書いたが、当たり前だが選に選ばれることはなかった。選には「てのひら怪談」の常連の人たちばかりのようだった。題材の西荻は付け足しだけだが、文章力が違うようだ。後日談だが、これを書いた年から緑色の桜を見ることがなかった。桜の季節、その前まで行かずに郵便局にいくために、曲がり角から遠目に眺めると緑色の花がないのである。そして、最近ようやくわかったのだが、なんと根元から伐採されていたのだ。何か腑に落ちない、しっかりとした花が咲いていたように思えたが木の状態がよくなかったのか。桜の季節、この季節、あれやこれやと哀しい季節なのだ。
http://monganao.exblog.jp/d2007-06-10/
西荻ブックマーク:「西荻てのひら怪談」
http://www.hi-ho.ne.jp/kyoto/midorinosakura.html